時代と社会のデマンド(要求)に応える玉川学園の一貫教育
20 世紀から21世紀にかけて人類の持つ知識は倍増し、さらに加速しています。この倍増周期の短縮は、知識の新陳代謝の速さであり、社会変化の象徴でもあります。日本国内では少子高齢化、さらに高度情報化とグローバル化が進み、子供たちを取り巻く環境が大きく変化しています。こうした時代の変化を受けて教育の規制緩和も進み、学校教育に対する姿勢も柔軟になってきました。その中で、玉川学園では幼稚園から高等学校(12年生)までを一つの学校と考えた一貫教育体制の構築、大学では長年の3学部体制から、6学部体制への変化と教育改革が進んでいます。
教育の側面では、高度情報化にともなうICTの活用による授業の効率化と共に、従来の対面授業F2F(Face to Face)に遠隔教育という側面が加わり、ネットワーク時代に相応しい授業形態への変化も起こっています。しかし、玉川ではICTを利用した授業は、社会が人間対人間を基本としている限り、教育もF2Fといった対面授業を基本とすべきだと考えています。
次世代の子供たちの環境がアナログ型社会からデジタル型社会へと変化する中、それにともなう対応こそが、これからの教育に対する需要であると考えます。そしてデジタル社会が生じさせるデマンドにどのように応えていくのかが、小学校から大学までの教育に問われています。
オン・デマンド教育 On Demand Education
ここ数年注目される教育活動に、On Demand Educationがあります。高速インターネットを活用して「何時でも、何処でも、どの科目でも」が標語になっている教育で、遠隔教育とも呼ばれています。
一方、この用語には社会や上位校からの需要(デマンド)に応える教育というもうひとつの意味があります。その昔、小学校が完結型であったのは、その時代の社会人として必要最低限の資質を付加してから、子供たちを社会へ送り出す役割を担っていたからです。その機能は中学校、そして高等学校へと上がってきました。つまり、学校の重要な機能の一つが、上位の学校や社会のデマンドに応える教育を行うということです。例えば、小学校では、子供たちが進学していく中学校で必要となる力を彼らにつけさせること、中学校では高等学校で求められる学習習慣、学習への価値観、学力といった資質を付加することがそれぞれの上位校におけるデマンドに応える教育です。そして、大学で必要となる資質を子供たちにつけさせることが、高等学校にとってのオン・デマンド教育となります。
大学にとっては大学を包括する社会が対象となります。大学教育にとってのオン・デマンドとは、学生たちが次世代の人材として社会で活動していく上で必要となる資質です。大学が学生に提供することは、学生が社会から彼らに求められている資質を得る場であると考えます。一人ひとりが己に期待されている需要を認識し、学校はそれに応える人材を育てていくのがオン・デマンド教育です。
新しい時代には、新しい教育のあり方が求められます。しかし、人間が人間であるためにも心の教育は必須不可欠な活動です。玉川学園・玉川大学も時代の変化に対応してカタチを変えていきますが、教育信条となる心は時代を超えて普遍なものです。デジタル知識が普及しても、知識の正邪善悪を識別する力、価値の有無高低を判定する尺度は必要です。知識そのものは価値観ではないからです。その判断は機械ではなく、知識を活用する人間自らがしなければならないことです。そのための教育も、また社会の需要であり、玉川が目指すオン・デマンド教育でもあるのです。

